オペラ「美しきまほろば～ヤマトタケル」

演じる役からご自身が感じたことについて

倭比売命は強さと優しさ、霊力、先々を見通す力を兼ね備えた女性。
ヤマトタケルの叔母として、父に疎まれる彼のことを不憫に思い、陰ながら力強く支え、常に彼の無事を祈り見守る存在。ヤマトタケルがクマソ征伐に利用した女装用の衣装、草薙の剣、火打石などを彼に授けたのもこのヤマトヒメ。このオペラの土台、鍵となる人物です。

作品の見どころポイントはどんな所でしょうか

太陽神、最高神として位置づけられてきた天照大神。古事記や日本書紀では沢山の神々の存在が記されていますが、その中でも主役の神。人の世が始まってからも天照大神は人間界と天界との架け橋となり、姿、顔を表さずとも、夢や神懸りとなった人の口を通し、天上界から人々を良き方向に導いていました。
倭比売命は天照大神の、その霊的な御加護に導かれ、霊力を発揮していたと思われます。この物語はそこに基づいて始まっています。

そして何と言っても、情景描写を事細かに表す美しい音楽。

幾度か繰り返される短い主題や動機のライトモティーフは、とても心地良く脳裏に焼き付き、心洗われる旋律はじんわりと耳に残ります。

ご来場の皆様へ向けてのメッセージをお願い致します

いつの世も人々は祈ることから始まり、大いなる天と地、自然、目に見えぬものへの、恐れ多く平伏す気持ちがあったからこそ、自然を愛おしみ、畏敬の念をもって生活していたのだと思います。
凄まじい進化を遂げているこの現代社会において、人としてのこの心のあり方は、今だからこそ、心して見直すべきなのではないか、と思えてなりません。

大変な世界情勢の中、命あるだけでも有難い今、この時に、ヤマトタケルの上演に関わらせていただけることに心より感謝し、神々の想いを、倭比売命を通して皆様にお伝えできたらと願っております。